前回3年検診クリアの報告ができました。(≧∇≦) 血液検査の度に結果用紙をもらうのですが、いつもあまり意味が分からず、見るところと言えば乳がんに関するCEAとCA15-3でしょうか。後はHigh とLowに気をつける程度。どの項目が他の部位への転移を示すのかわかっておらず、あまりにトホホなので今回勉強したものを書きます。長いので2回に分けます。病院によって検査項目は違うと思いますが、よろしければご参考になさってください。
なお検査基準値は医療機関によって異なり、統一されたものはありません。年齢でも違いますのでここでは内容のみノートします。また何回か書いていますが、血液検査はその時々によって偽陽性を示すことがあり、1回の数値だけで一喜一憂しないほうが良いです。
1. 基本的検査 【ALB】
主に栄養状態をチェックします。
アルブミン(ALB=Albumen)
アルブミンは肝臓でつくられ、血液の浸透圧を調整するのに重要なたんぱく質です。
高い⇒脱水症など
低い⇒むくみ・腹水・低栄養状態・甲状腺疾患・肝疾患(肝炎、肝硬変、肝がん)など
2. 肝機能検査 【T-Bill・LDH・AST・ALT・γ-GTP】
肝臓は臓器の中で最も大きく、主に食べ物から取り込んだ栄養素の加工、貯蔵、毒の中和、消化を助けるという働きをしています。半部以上切除してしまっても半年後には元に戻る回復力がありますが、沈黙の臓器と言われ、痛みの症状を出すことがあまりありません。異常がかなり進行してしまってから気付くことがありますので、検査でチェックすることは重要です。
総ビリルビン(T-Bill=Total Bilirubin)
ビリルビンは、赤血球やコレステロールが壊れた時に発生する黄色い色素で肝臓で処理されます。尿や便の色はこのビリルビンによるものです。
高い⇒貧血・黄疸・肝疾患(肝炎、肝硬変、肝がん)など
低い⇒特に問題なし
乳酸脱水素酵素(LDH=Lactate Dehydrogenase)
エネルギーの基となるブドウ糖を燃焼させるときに働く酵素。肝細胞の中に含まれ、肝細胞が障害を受けると細胞の外に流れ出し、血液中のLDHの値が上昇します。
高い⇒心筋梗塞・急性肝炎・肝硬変・がんなど
低い⇒抗がん剤等の投与など
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST=Aspartate transaminase)
アミノ酸代謝で働く酵素。肝臓・心臓・腎臓などに多く存在し、障害を受けると細胞の外に流れ出します。ALTとペアで検査されます。
高い⇒急性心筋梗塞・肝疾患(肝炎・肝硬変・脂肪肝・肝がん)・筋疾患・溶血性貧血など
低い⇒ビタミンB6欠乏
アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT=Alanine Aminotransferase)
アミノ酸代謝で働く酵素。主に肝臓に存在し、障害を受けると細胞の外に流れ出します。
高い⇒肝疾患(肝炎・肝硬変・脂肪肝・肝がん)など
低い⇒低栄養・ビタミンB6欠乏など
ガンマ‐グルタミルトランスぺプチダーゼ(γ-GTP=γ‐glutamyl transpeptidase)
タンパク質を分解する酵素で、肝臓や腎臓、膵臓、血液中に含まれ、障害を受けると血液中に流れ出します。肝臓や胆管に異常がある場合、他の酵素より早期に反応します。アルコール性肝障害の診断に重要な検査。のんべぇさんは要注意です。 😎
高い⇒アルコール性肝障害・肝疾患・胆石・膵炎・膵臓がんなど
低い⇒低タンパク(だるさ、むくみ、疲れやすい)
3. 肝機能と骨疾患検査 【ALP】
アルカリホスファターゼ(ALP=Alkaline Phosphatase)
アルカリ性でリン酸化合物を加水分解する酵素で肝臓、小腸や骨、胎盤などに含まれます。障害を受けると細胞の外に流れ出します。
がんが骨転移した場合、高度に上昇することが多く見られます。肝臓が悪くないのにALP値が高い場合にはアイソザイム(酵素タイプを調べ、部位を特定)を測ります。骨型であるときにはがんの骨転移の精密検査が必要です。ちなみに小児成長期は成人の2~5倍の高値です。
高い⇒黄疸・骨折・アルコール性肝障害・肝炎・がんの骨や肝臓転移・白血病など
低い⇒遺伝性
4. 腎機能検査 【BUN・CRE】
腎臓の主な働きは、尿をつくり、血圧・体内環境の調整、赤血球をつくる働きを助け、ビタミンD活性化にも貢献しています。肝臓と同じく沈黙の臓器と言われ、痛みの症状を出すことがあまりありません。
尿素窒素(BUN=blood urea nitrogen)
腎臓で古くなった血液から老廃物を尿として排出、尿素には窒素が含まれるのでこれを測定。クレアチニンと併せて測定。
高い⇒発熱・脱水・腎疾患など
低い⇒妊娠・肝不全など
クレアチニン(CRE=Creatinine)
筋肉を動かすエネルギーの原料となるクレアチンが代謝された後の老廃物。腎臓でろ過され排出されます。尿素窒素と併せて比率を確認します。
高い⇒腎疾患(腎炎・腎不全など)肝硬変・腎臓結石・心不全など
低い⇒筋疾患など
5. 電解質を調べる 【NaCl・Cl・K・Ca】
電解質検査は、血液中のイオン濃度を測定し、体内のバランス異常を調べる検査です。人間の身体の60%近くを占める水分に含まれるミネラルで体内の水分量やpHを一定に保ち、神経伝達や心臓、筋肉を動かすことなどにかかわっています。体内イオン濃度は腎臓によって調節されています。水代謝系の異常を調べる目的があります。
ナトリウム(Na=Natrium)
水分調節をする働きがあり、多過ぎるとこれを薄めるために体内に水がたまります。
高い⇒下痢・嘔吐・糖尿病など
低い⇒腎不全・心不全・利尿剤投与など
クロール(Cl=Chlorine)
大部分はナトリウムと一緒に存在し、水分・pHの調整をします。
高い⇒脱水症・腎不全など
低い⇒嘔吐・下痢・肺炎など
カリウム(K=Kalium)
神経や筋肉の働きを調節します。
高い⇒不整脈・腎不全など
低い⇒神経の麻痺・嘔吐・下痢・摂食障害など
カルシウム(Ca=Calcium)
骨や歯の形成、神経伝達、血液の凝固などの働きがあります。体内のカルシウムの99%は骨や歯に蓄えられ、残りが細胞や血液中にあります。
高い⇒骨髄腫・がんの骨転移など
低い⇒ビタミンD欠乏、腎不全など
かなり長くなりました。読んで下さる方は疲れてしまったことでしょう。調べてまとめるのも時間を要し、残りの血算以降を次回に調べますね。【乳がん血液検査をわかろう!~その2】
ミスがありましたらお知らせいただければ幸いです。
ここまで読んでくださった あなたに感謝。<(_ _)>